大会長挨拶

開催にあたってのご挨拶

第39回性教育指導セミナー全国大会 会長

佐賀県産婦人科医会 会長

田 中 博 志

平成28年7月31日(日)に佐賀市において、日本産婦人科医会主催、佐賀県産婦人科医会の担当により、「見直そう性教育!~幸せなみらいに向けて~」をテーマに第39回性教育指導セミナー全国大会を開催する運びとなりました。また、大会前日には、「性被害に遭わないために」をテーマとした公開講座も企画しております。

昨今、インターネットの普及拡大により、露骨な性描写や誤った性に関する情報に接する機会が増大し、SNSの不適切な利用による性犯罪も多発するなど、子どもたちを取り巻く社会環境は大きく変貌しています。このような状況の中、我々産婦人科医や学校医、助産師が学校現場と協力し、望まない妊娠の防止、性感染症の予防、適切なSNSの利用等、正確かつ時代に即した性教育に取り組む必要があります。

佐賀県は残念ながら、人工妊娠中絶率が全国で高位を占めておりました。このような現状に危機感を抱き、佐賀県医師会内に性教育対策委員会を設置し、我々佐賀県産婦人科医会や佐賀県教育庁等の行政も積極的に協力し、平成21年度から中学生を対象とした性教育活動が開始しました。その後、平成23年度からは、中学生、高校生を対象とした「県立学校性に関する指導支援事業」、「市町立中学校性に関する指導支援事業」を展開し、全県下での共通のスライドを使用した性教育活動に取り組んでいます。

また、佐賀県では、性暴力被害に遭われた方のこころと体の早期回復や社会復帰への支援を目的として、平成24年7月に「性暴力救援センター・さがmirai」が、全国的にも先駆けて設置されました。平成26年度には、年間200件を超える相談が寄せられています。

今回の大会では、このような佐賀県での性教育活動、性暴力被害者支援の取り組みをご紹介する他、他の地域、職種による性教育活動への取り組み、自傷行為に関する講演、佐賀市が全国に先駆け平成23年度から開始したHPV併用検診に関するランチョンセミナーなどを企画しています。

各都道府県で性教育に取り組む医師、助産師、保健師等の医療関係者、養護教諭等の学校関係者が一堂に会し、性教育のあり方等について研鑽を積み、意見交換を行うことで、性教育の内容が更に充実したものになると期待しております。また、充実した性教育を受けた生徒達が大人になり、その知識が周りの知人や我が子へ受け継がれ、望まない妊娠、性暴力の抑止力になることを望んでいます。

なお、セミナー前日の7月30日(土)開催する公開講座「性被害に遭わないために」では、避妊教育ネットワークの先生方による寸劇、ITによる性被害の予防に関する講演、フロアを交えた座談会を予定しています。フロアの参加者から積極的にご質問をいただき、医療や教育の現場でお役立ていただければ幸いです。

最後に、ご多忙にもかかわらず講演を快諾いただいた先生方へ厚く御礼を申し上げますと共に、セミナー、公開講座へ参加いただいた皆様にとって有意義な会となることを願い、ご挨拶とさせていただきます。

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