ご挨拶

大会長あいさつ

第24回目の日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会は、2017年2月4日(土)5日(日)の2日間、九州は福岡県久留米市で開催することになりました。15年前の2002年福岡市で全国大会を開催したとき、在宅ケア、在宅ホスピスの普及はまだまだでした。2000年の介護保険、2006年の在宅療養支援診療所制度の創設、そして今、地域包括ケアシステムへと国をあげて邁進しています。

1992年にスタートした「日本ホスピス・在宅ケア研究会」は、文字通り『地域での包括的なケアのあり方を追求し、在宅で療養する人たちを支援するシステム作りをめざす』という歩みでした。本研究会は、“がんや在宅ケアなど今日的な医療や福祉の問題について専門家と市民が同じ高さの目線で考え・・・痛みや不快な症状の除かれたやすらかな「ホスピスケア」や十分にサポートされた豊かな「在宅ケア」”(設立趣意書より)を願うものです。

今回のテーマは、「いのちを受けとめる町づくり」サブテーマは「日本のホスピスが忘れてきたもの」としました。阪神淡路大震災、東日本大震災などを通して、死を見つめようとしなかったわが国のあり方が問い直されてきました。また高齢者の増加に伴う多くの課題も浮かび上がってきています。これらの負担をどのように分担するか、どのようなシステムでまかなうのか、といった視点だけでなく、生まれたときから死ぬときまで、“いのちを受けとめる”という観点から地域コミュニティ(町づくり)を考えていきたいというのが本大会の柱です。

1980年代に始まったわが国のホスピス運動が緩和ケア施設に偏り、在宅を軽視してきたことは否めません。またがん患者のみを偏重するホスピス運動は、パブリックヘルスの一環としてホスピス運動を捉えて発展してきた世界のホスピス運動からは次第にかけ離れてきました。そこで本大会では、インドでコミュニティ緩和ケアを構築し、パブリックヘルスの視点から地域緩和ケアを推進しているインドのスレッシュ・クマール医師をお招きしました。途上国のコミュニティ緩和ケア、住民参加の緩和ケアから我々が何を学ぶのか、大切な課題です。

また本大会では、久留米を始め地元の方々を講師やシンポジスト、ファシリテーターとして多くお招きしています。すでに全国各地、それぞれの地域で十分なスタッフが活躍しており、本大会を契機に、久留米市、福岡県全体、さらに九州各地での在宅ケア、ホスピス運動がレベルアップしていくことを強く願っているからです。

みなさん、どうぞ全国各地から福岡県久留米市にお集まりいただき、これからの日本の在宅ケア、ホスピス運動について、一緒に考え、語り合ってみませんか。

大会長  二ノ坂 保喜(にのさか やすよし)

全国大会に向けて

皆さま、こんにちは。私は、福岡県久留米市で有床診療所の院長をしています。第24回の日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会の実行委員長の任を受け、現在大会に向けての準備を鋭意すすめているところです。

 久留米は人口30万の都市で、豊かな水量をほこる筑後川がつくった筑後平野にあります。ブリヂストンをはじめとしたゴム産業の町。久留米絣(くるめがすり)も有名ですし、とんこつラーメン発祥の地でもあります。人口比あたりの焼き鳥屋の数も日本一とか。

久留米大学病院、久留米総合病院、聖マリア病院、新古賀病院などの中核病院も多いのですが、医師の町として開業医の数も多い地域として有名です。一方で、地域包括支援システムや在宅医療のネットワークに関してはまだまだ途上の状態で、今回の全国大会がこの地域の在宅医療全体の底上げに寄与すればと期待しています。家で家族を看取ったご遺族のお話を聞くセッションも含め、一般市民の方々にも多数参加していただけるようなプログラムを設ける予定です。

 全国の皆さまのご参加を、こころからお待ちしています。

  

実行委員長 斎藤如由(さいとう なおゆき)

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